『東アジアの祭祀伝承と女性救済』高梨一美さんが関わった本。
「完成本ご送付」に
「まことに些少な献本に止めざるをえませんこと…」とあったり、
次にのせた「刊行にあたって」( この文は、今の学問と出版状況をよくあらわしている )にも
「諸条件がぎりぎりのところで作られたものなので、広くお分けすることができません」とある。
高梨一美さんと目連尊者
確かにこの本の眼目ー目連尊者について、手紙かメールかを送った記憶はある。
それは淨土に還っていかれた高梨一美さんとのあいだであって、
その頃、どこかの研究会で目連尊者をやっているというのを聞いて、
どうも盆踊りの「目連尊者地獄巡り」をつかんでいないのではないか…?
それでこんなのがありますよ、と高梨さんに送ったのだったと記憶している。
彼女が書いた論がようやく本になり、
多くの人には分けられないけれど、
高梨さんが1冊は西山に…と言ってあったので、
このような貴重な本が送られてきたのだろうーと考えた。
遡って書いていくが、ずーと肉体的に忙しかった。
寝不足での頭を使う作業もあった。
猛暑の疲れを取るべき時期に、若くない肉体はガタガタとなり、
胃腸がやられて、ちょいと滅茶状態になっている。
そういう最中に届いた本だったので、
そこまで思い起こすのが精一杯だった。
早速、執筆者名を見た。高梨さんの名がない。
目頭が熱くなった。
丁寧な索引があったので、見たが高梨さんがいない。
第一次史料が高梨さんなら、二次史料のはずの私の名が索引にあった。
そうだったのだ。
なんとなく記憶が蘇ってきた。
そして「はじめに」に
「2005年9月に病のため急逝した高梨一美氏なども研究会ではさまざまな発言をして考えるヒントを提供してくれました」とあるのを見つけ、「よかった」と思いながら、
送付原稿の振り仮名探し作業に戻った。
このことについては、日を改めて書く。