吾木香・吾亦紅ー重陽・白露の朝

f:id:umiyamabusi:20210910103904j:plain

   9日朝の吾木香(ワレモコウ)。書斎「臥龍文庫」前

 

義母の蔵書を整理していたら、(私にとっては)見慣れない人の本があった。義母は今井邦子を師とし、『明日香』の編集に携わっていた。夏期休暇などに子ども達を連れて妻の実家へ行くと、孫を可愛がりながらも、寸暇を惜しんで『明日香』編集に携わっていた義母がいた。
見慣れぬ、三ヶ島葭子の名に惹かれ『三ヶ島葭子研究』をパラパラめくると、歌集「吾木香」とあって、
 葭子の処女歌集「吾木香」は大正十年二月、東雲堂から出版された。生前に上梓された只一冊の歌集である。
とある。

f:id:umiyamabusi:20210910104334j:plain

 

 知識欲が動いたのは「吾木香」の字である。ワレモコウについては,学生時代、庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」(実際は「さらば怪傑黒頭巾」だったが)に、理屈ポク鬱陶しい老学者か何かに「しわ寄せてたばこ吸うかやワレモコウ」と詠んだ句、こころは威張っていてもワレモコウ(秋)、人生の秋ですよ…と若者をすっきりさせた話を覚えており、ワレモコウという秋を代表する何かがあるのは10代から知ってはいた。

それが、蒲のような格好をしたものだということを知ったのは、最近、すぎもとまさとの歌「吾亦紅」によってである。YOUTUBEでは,吾亦紅にトンボが止まっている秋の夕暮の絵を用いていて、歌と画像が胸を打つ。
https://www.youtube.com/watch?v=ezrjjvb4TKY

ワレモコウに吾亦紅と吾木香があるのか、といった驚きである。それを知ったら、庄司薫はワレモコウの字をどちらを用いていたのか、調べなくてはおかれなくなった。
書庫『臥龍文庫』で調べると、ワレモコウを使っていた。そのページ。

f:id:umiyamabusi:20210910104714j:plain

f:id:umiyamabusi:20210910104732j:plain


その頃は,お盆近くで、式台と呼んでいる玄関にワレモコウが飾られた。秋には早いけど、アブラゼミ・ヒグラシ、ほととぎすが1日の温度変化に合わせてジャンジャン鳴きまくっている季節混乱の年だ、ワレモコウが咲いても不思議ではない。

f:id:umiyamabusi:20210910104810j:plain

連れ合いに、あのワレモコウどこにあった?と聞くと、あきれたように「あれはガマです。ワレモコウは♪マッチを擦れば、オロシガフイイテ…とあまり歌うので、家にもワレモコウ咲きますよ、と部屋に飾ったでしょうー!」という。
 写真を探したら出てきた。全然違う。あれは因幡の白ウサギ話の絵でよく見たガマの穂だ。

f:id:umiyamabusi:20210910104842j:plain

そういうことがあって、ワレモコウを知ることが出来た。
重陽節句、白露の日の朝、本堂後ろに茗荷に囲まれて咲いているワレモコウ…!

ところで、ここに出てくる歌人達のたちの師で、『明日香』主幹・今井邦子さんは『女歌の百年』(道浦母都子岩波新書)にどのように扱われているか、と見ると、今井師はなく「Ⅴ「新しい女」への目覚め―原阿佐緒・三ヶ島葭子―」とあって、吾木香が出ている。

f:id:umiyamabusi:20210910112236j:plain

吾亦紅の視覚世界もいいが、吾木香の「香」は、白色白光・西方・秋からの恵みが感じられ、得も言えぬ。

重陽の朝の草花

ワレモコウ以外にも、次の草花が咲いていた。

f:id:umiyamabusi:20210910112438j:plain

ツユクサ

f:id:umiyamabusi:20210910112503j:plain

ムスカリ

f:id:umiyamabusi:20210910112529j:plain

水引

f:id:umiyamabusi:20210910112556j:plain