著者の嶺岡さんとは一面識もないのだが、かつて、田中久夫さんを通して法道関係で一度手紙のやりとりをしたことがあった(はず)。
その嶺岡さんから、著書が届いた。
一度のいきさつについて、2013年9月19日のブログに
久里25、28、32号(神戸女子民俗学会)、御影史学論集31号(御影史学研究会)
を書いていた。引用する。
今年の7月、この二つの学会を指導なさっている田中久夫先生から、
法道仙人のことを書いている若い人がいるので、感想を…
の手紙と共に「久里」32が届いた。
このように、一人一人に気配りされながら指導なされているのだなァ…の感慨と、
そういう先生に学べる教え子の幸せを想像しながら
特に法道仙人を調べたこともないので、お送りするものもないのだが、
『伝説とロマンの里』の方道仙人(能登では、方道)のところと、
『能登のくにー半島の風土と歴史ー』の「ユートピア半島ー能登の風土と地名ー」の部分を、筆者の勤務先にお送りした。
その後、その嶺岡美見さんが書かれた論文が載る「久里」2冊と「御影史学論集」が届いた。
飛鉢伝承を中心に調べておいでるとのこと。
「能登石動山の「イワシガ池」ー氷見灘浦の漁師とのことー」「久里」25号
「越後柏崎の鰯と飛鉢の法との関わり」「久里」28号
「伊予の方道仙人」「久里」32号
「空飛ぶ鉢ー浄蔵の飛鉢説話成立背景をめぐって」「御影史学論集」31号
ここにあらためて、このことを書いてみて、
中能登町の桜井憲弘氏と、氷見市の小境卓治氏にお伝えしなければと思ったのと同時に
飛鉢伝承を収載(「里人の仰ぐ白き峰」)し、名著と讃えられた『百万石の光と影 新しい地域史の発想と構築』(浅香年木遺稿集第1集、1988年4月能登印刷出版部刊)の浅香年木さんを思い出した。
この頃から、地域史という概念が定着しだしたはずだ。
昨年、筆者から出版記念会への招待文が届いたが、田中さんの名がなかったので、何かの間違いにして、ほとんど気にもとめないでいた。
しかし、こうして高価で内容も濃い本が届いたので、いそいでお祝いを差し上げ、このブログ記事を引っ張りだし、こまかい事情を知った。
そこで、一つの疑問がわいた。年齢、研究者つきあいーどこにも接点がなさそうな
田中氏と、私がどこで知り合うことになったのか?である。
田中氏は関西大学の方で、史資料・文献を駆使なさる学風で、私の師・五来重先生に近いところがあるが、より文献の割合が高い方との認識がある。
すごく好きな学問系統のかただ。
接点を探して、ウィキペディアで「田中久夫」を調べた。
田中 久夫(たなか ひさお、1934年(昭和9年) - )は、日本の民俗学・日本史学者、神戸女子大学名誉教授。御影史学研究会代表。
1961年関西大学文学部史学科卒、64年同大学院博士課程満期退学。1989年「祖先祭祀の研究」で関西大学文学博士。神戸女子大学助教授、教授、2005年退任、名誉教授。
著書
- 『祖先祭祀の研究』弘文堂 日本民俗学研究叢書、1978
- 『年中行事と民間信仰』弘文堂、1985
- 『仏教民俗と祖先祭祀』神戸女子大学東西文化研究所、1986
- 『金銀島日本』弘文堂 シリーズ・にっぽん草子、1988
- 『地蔵信仰と民俗』木耳社 オリエントブックス、1989
- 『氏神信仰と祖先祭祀』名著出版 御影史学研究会・民俗学叢書、1991
- 『地蔵信仰と民俗』岩田書院、1995
- 『金銀銅鉄伝承と歴史の道』岩田書院 御影史学研究会民俗学叢書、1996
- 『祖先祭祀の展開 日本民俗学の課題』清文堂出版、1999
- 『田中久夫歴史民俗学論集』御影史学研究会編 岩田書院
- 1 皇后・女帝と神仏、2012
- 2 海の豪族と湊と、2012
- 3 山の信仰、2013
- 4 生死の民俗と怨霊 2014
- 5 陰陽師と俗信 2014
共編[編集]
この日のブログにはほかの本紹介もしていて、ここに引用したのは、その一部である。
接点が見えた。ゴシックにした『地蔵信仰と民俗』(オリエントブックス)があって、私はその翌年、すなわち1990年に同じオリエントブックスシリーズで『蓮如と真宗行事』を出させていただいている。
当時は飯田高校の教員で、翌年退職することになるとは夢にも思っていない頃だった。住職になってからは予定を立てにくい暮らしとなり、日本民俗学会年会にも顔を出すことがなくなったと記憶しているのだが、確か、珠洲焼資料館館長に就いていた頃、一度田中さんが訪ねてこられたはずだ。
そして、8年後に職を辞退したとき、先生は民俗の拠点が一つ失われ残念だ、とおっしゃった。不思議な反応だったので、記憶に残っている。
今年も賀状が届き、『法道仙人飛鉢伝説と海の道』をよろしくと書いてあり、「うまいのが書けました」と書き込んでおいでる。
お元気なのだ。
能登を発信することを目的にこのブログを始めた2005年11月、
その20年前(1985・昭和60年6月)に我が家に泊まられ、狼煙の先端で「海の修験研究は100年かかりますよー」とおっしゃって行かれた五来重先生の言葉を忘れないようにとタイトルに、能登の海伏・山伏、さらに海山節も含めて「能登のうみやまブシ」にしたいきさつがある。
空飛ぶ法道から泰澄・伏行者の修験者・海の道へとつながるこの本の世界は、
私にとっても興味津々のテーマなのだが
今の私は、35年前の私とはすっかり変わり、
足下だけを見ていこうとしている。
小さな物語に結びつきそうな、本が届いた。
『犀星映画日記』
すてきな本を次々出しておられる「亀鳴屋」から、またしても楽しい本が出版された。
社長の勝井さんから。
室生洲々子氏は室生犀星記念館名誉館長。