法名「尼夢劫」、戒名

今朝の朝日新聞
池澤夏樹という方が、故・石牟礼道子さんを訪ねて熊本へ行った話が載っていた。
石牟礼さんは、ゆとり教育時代の筑摩書房教科書に「苦界浄土」もう一度人間にが載っていて、衝撃を受けながら授業したことがあった。分かりやすくいい文だったので、試験問題に出来ず困ったことも印象に残っており、同じ教科書に、「黒い雨(井伏鱒二)」「雪国(川端康成)」も載っていた。
黒い雨がカタカナで書かれていることをその時まで知らなかったし、「雪国」は短編なので全文英文が添えられていた。
もちろん「THE Snow Country」は教える以前の問題で、無視したはずなのに、教員を辞めてからも、何とか教えようとタイトルだけを読んで立ちすくんでいる夢を、何度も何度も見た。

ということで、石牟礼道子さんにはかなりの思い入れがあり、住職になってからは学生時代の友・江口君が入っていた熊本・真宗寺に石牟礼さんも関わっていて、そこからも(お会いしたことは無かったが)勝手に親しみを感じていた。

朝日の文に戻ると、真宗寺を訪ねたと書いている。

いや、前の日に真宗寺でお骨を前にして
釈尼夢劫という
御自身が生前に決めておかれた
戒名に手を合わせはしたのだが

とある。
多分、池澤という人は、文筆の方なのだろうが、
夢劫という素晴らしい法名が-永遠に戒は積めませんとの宣言が籠められている法名を、
このように修行の一段階である戒名と思われ、書かれたら、石牟礼氏はどうお思いになるだろう。

末世ここに至れり……
書いた人も、
書いてもらって載せた記者も……

プロの世界から言葉が崩壊して行っている、昨今を思い
もの悲しくなった。
今朝は、雨。