瓦製(がせい)獅子ー池崎日宮神社(七尾市池崎町)ー

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七尾市池崎町日宮神社にある瓦製獅子。
写真は『七尾市史12造形文化編』に載るもの。

購入して最初にパラパラとめくっていったときには、変わった獅子だと思った。一体の獅子を表と裏から写したのかような印象だった。


時は流れて、今、手伝っている本の原稿「珪藻土・瓦産業」に使える写真を
探していて、あらためてこの写真に出会い、じっくり見ると、尻尾も顔も違う。
となるば、右側の獅子は腹部に損傷があって、あえて後ろから写したのかもしれない…。
と、想像した。



その一方で、『図説七尾の歴史と文化』を手伝った頃に撮った写真の中に、瓦製品が写っている写真がないか探していると、
池崎の祭りを撮った写真の中に、同じ獅子が写っていることに気づいた(1997年6月19日撮影)。
これが、その写真である。
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左側の獅子。落ちているシッポが、この時はチャンとついている。
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右側の獅子。胴首がつながっている。


13年前には、それほど傷んでいなかった獅子がどうしたのだろう。
撮影日が記されていないので、想像するしかないのだが、
すぐに思い浮かんだのは、2007年3月25日の能登沖地震
半島全体が波打ったあの地震は、七尾にも大きな被害をもたらした。
あの頃、蔵の中の物はガチャガチャになったという話を、七尾のあちこちで聞いた。、
また、門徒会の講義をしていて、目線を天井の方に送ると今にも落ちそうになっている斗拱があったりで、
この瓦獅子も飛んだか、落下物によって、尻尾がおれたり、首と胴が離れたのだ…とは、すぐに想像出来た。



ただ、市史の出版年月を見ると、地震前の平成16(2004)年6月になっている。
ここから先の推測は、妄想になりそうなのでやめておくが、
元の造形により近い写真があったので、ここに紹介させていただいた。