能登教区御消息調査と御消息の意味

昭和60年から14年間かけて
佐藤義裕氏、木越祐馨氏、私とで能登教区の御消息調査を行った。
総計1272通もの御消息を撮影し、報告書を出しつづけたのだ。
それを分析して、懇志御書期、お巧み御書期、御文御書期、これらの混在期と大きく4期になることを
時代背景と絡ませて論にしたことがある
(「御消息とその時代ー近世を中心にー」『能登教区御消息調査報告18 御消息について』平成14年6月刊)。
これらは能登教区だけに配られたもので、
私たち3人と関係ある近世仏教史関係者の方々には若干届けたつもりだが、
民俗関係者はこのような報告書があることさえ知られていないのではないか…。


それに、御消息を問題にして取り上げた民俗調査報告は、
管見の限りでは無いようである。
真宗との出会で、最も入りやすい場であるはずの、お座、御講において、その要に御消息がある。
逆に言えば、ほとんどのお座・御講は御消息がないと成り立たないのだが、
そのことがあまり問題にされていない。
ということで、日本民俗学会シンポに出ざるを得ないのなら、
真宗民俗理解において欠かせない「御消息論」を語ろうと、
考えたのである。