雨ーアメガシトシトフルパンハ…「討匪行」の重さ

肌寒い。雨がしとしと降っている。
前線の南、大雨地帯の人には申し訳ないが、

この肌寒さでは、数日前から湧き出るように飛んでいた、トンボはどうしているだろう、亀も静かだ…とぼんやり思っているうちに、
ある歌のメロディーと歌詞が脳裏に流れ出した。

 ♪あめがしょぽしょぽふるぱんに
  からすがまどからのぞいてる
  まてつのきぽたんのぱかやろう


この歌を始めて聞いたのが、それ以外は聞いていないので、この歌を知ったとした方がいいのかな…、
知ったのは、大島渚監督、荒木一郎が主演した「日本春歌考」だったのではなかろうか。

学生時代、一旦映画を見ると決めると、大抵3回終演まで見続けた。
これも、おそらく映画を見ている間に覚えたか、
あるいは歌詞については添田唖蝉坊の子、知道の著・同名の新書版で確認したか、

いずれにしろ、しずかな雨の日には、ふと浮かんでくる歌となった。


この歌には元歌がある。
「討匪行」という昭和7年に作られた歌、ジャンルで言えば軍歌。
加藤登紀子が歌っていた。森繁にもあったかも知れない。
昔、教員をしていた頃、青年部の宴席で若手リーダーが目をつむってしみじみとこの歌を歌い、意外に思ったこともあった。


加太こうじは、軍はこの歌を禁止にしたのに、兵隊は無視して歌い続けた、と書いている(そうだ。孫引き)。


切ない詞と曲。当然そうだろうなァと読み進めていくと、
次の歌詞に特に禁止の理由付けを行ったのだという。

歌詞を読み進めていくと、第14番にその歌詞があった

  ♪敵 (賊)にはあれど遺骸(なきがら)に
   花を手向けて 懇ろに
   興安嶺よ いざさらば  興安嶺よ いざさらば 


敵にはあれど…
重い。
最近、民俗研究者さえも、調査に行って遺族の思いに思い至らず、死体は…?などというバカなことを言う。
亡骸なのだ。
これらに頷きながらも、
思いは映画へと移った。


先日、賀状にまで今年一番の映画は、と書いてくる友と合った。
彼は、その時も、ある映画の素晴らしさを語った。

私が見た最後は、おそらく子供たちと一緒に見た「もののけ姫」だったろう。それも網野先生の説を元に宮崎駿が脚本を書いた、
という理由があってのことだった。