門前広岡満覚寺説教大会・名古屋説教大会・寺本明観師

毎年、6月11日に、門前町広岡 (今は輪島市) で説教大会が行われる。
広岡満覚寺が会所(えしょ)となり多くの善男善女が、聴聞に訪れる。
今年は、京都の学会で発表していていけなかった。
代わりにといっては何だが連れ合いがお参りした。


全国から500人が口コミその他で、参詣する、大説教大会だ。
禅宗総持寺で修行している若き僧たちも聴聞する。
内陣の中まで人であふれるのだ。


そこには、説教研究で名高い関山和夫氏、
年によっては小沢昭一氏や、ただ一人の祭文語りの人など、
色々な人が顔を出す。


今日から、当寺の祠堂経(永代経)。
その布教に、その広陵兼純氏に来ていただいている。
今日が第1日目で、10日まで。


真宗では、一緒に教えを聞いていきましょう、が原点であるから、
「講」が中心になる。
報恩講」「お座」など。


仏教である以上仏教一般の行事も行うが、それらは~~会〈え〉という名で呼ばれる。
彼岸会、盆会などだ。


講でもなく、会でもない、祠堂経は、
日本仏教を理解する上で極めて重要なお参りなのだが、
その説明は置いておいて、
ともかく、今日から、素晴らしいお説教が聞けるのだ。



広陵師がおいでになったので、
あれだけ有名になった、布教大会。
その原点にあたるのは、いつ頃、どういう事から…
始まったのかを、お聞きした。

名古屋の説教大会

昭和55年。名古屋中日劇場で、節談説教の名人3人による、説教大会が開かれたそうだ。

そのメンバーは、年の順から、
尾張の祖父江省念、
加賀の寺本明観、そして
能登広陵兼純(自分では名人とおっしゃらなかったが)の3師。


もっと正確に言うと、
最近寺本さんというお説教をなさった人に出会ったけど、知ってる?
から、始まった話なのだ。


調べれば分かるとのことだったが、
まもなく金沢で行われた説教大会では、
寺本明観、川岸不退、広陵の3師で行ったという。

寺本明観師

知る人ぞ知るの、メンバーの中の、どちらにも寺本師は名を連ねておいでる。
幻の人に、出会ったことになるぞ…、サイン…。
これはおいといて、
あの、穏やかそうな人がそうだったのか?


広陵兼純師は記憶を辿りながら、
「余地の光明寺(さん)やろ…。」
「間違いない」と私。


最近合わないけど…と兼純師。
88歳になっておられるそうだ、
と、チョイと鼻高々の私。


いやぁ、どういうことだ。
どこかで、寺本明観師の名は聞いたことがあるような気はしていた。
 

私の書いた「節談説教の風土」(平凡社)には書かなかった。
中日劇場には、関山さんも見えておいでになったそうだから、
関山さんの多くの書物の中に記されているのだろう、と思う。

(追記)
ビクターCD6枚組。
「ドキュメントまた又『日本の放浪芸』節談説教~小沢昭一が訪ねた旅僧たちの説法~」
の中に金沢別院でなさった「大根屋」が収録されている。
このCD、何度も買おうかどうしようか、迷っているものだ。
どうせ、お説教がうまくできるわけもないのだから宝のもちぐされだ、
いや…、と何度も葛藤しているので、何度もお名前を見ていたのだ。
 

ようこそと、にこにこ顔でおっしゃた寺本師の顔が、
ぐっーと、クローズアップされて浮かんでくる。

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