特別養護ホームでの法話

今日は、特別養護ホームでお話しする日だ。
これは、順繰りに当番が巡ってくる。
偶然、選んだ日が、御命日だった。

   
このところ、「尼僧さん」のキシットした法話原稿を見、こ
うしなければ、と思ってはいるのだが、それはこれからで…、
今日は、お聞きになっている方々を見て、
ある程度臨機応変にいこうと、決めていた。


しかし、流れは、一応しっかりしておかないといけない。


次のようなメモを作った。

29歳生死を越える。
世間虚仮。
女人救済。
子供(小式部)の死→死から往生。観音。
人として生まれる。五戒。有無の邪見。
あるがまま。

あるがまま。
に用いる『こどもの詩』を用意し、
「現代を知る2006聞法」のファイルを持ち、
赤本(真宗大谷派勤行ーごんぎょうー集)を捜し、
着替え、
高松のスーパーで買ったチョコレートを持って出発。


運転していてしばらくしてから、
赤本を探しに行って、別のことを思い、赤本を持ってくるのを忘れた…ことに気づいた。


以前お話ししに行ったとき、
老人ホームのお内仏前に赤本がおいてあった。
なんとかなるだろう…とは思ったが、
気になるので、公衆電話からホームに電話した。
電話が壊れていて通じない。


真宗聖典』で…
今日に限ってカバンに入れなかった。


宇ノ気へは数珠を忘れていくし…
( あの時、厳しいお坊さんがおいでて、「数珠さえ持ってこんものは、お参りする資格がない…」と追い出されても仕方がないなァ…と思いつつ行ったのだった。
途中で買おうと思ってもみたのだったが、
どこで買えばいいか分からなかった。ーそれなのに、あんなに親切にしていただけたし…。)


今日は赤本。
入所者の方々に正信偈を配るのだから、
1冊借りよう…と、腹をくくり、ホームへ入った。


着くなり、「正信偈ある?」と聞いた。
応接室へ。
後輩で多分偉くなっている (考える気力がないので、偉い、でいく) K女さんが、
正信偈」を持ってきてくださった。
名刺もくれた。「施設長」と書いてある。


教え子がいっぱい職員にいる。
お茶を運んできたのが、
かつて、先生、新聞で見ました。
と葉書をよこした子だった。
「いくつになった?」と聞くと、「もう、43です」。


老人ホームで働いておいでる43歳の方…その経験にビビリまくらねばならないのだが、
教え子と教師というのは、
本当に不思議な関係だと思う。
口から出たのは、
「そうか、そうか、いい年になったなァ」、だものな…。


忘れたのは、「正信偈」だけではなかった。
メモも、ファイルも入っていない。
カバンに入っていたのは、間衣(かんい・かんえ)という普段着の衣と
輪袈裟・数珠と、
なんと……チョコレートだけ。


お勤めの後、メモとは、随分違うお話しをし、
85歳、2月9日の夢によって、
親鸞聖人は、「如来の遺弟悲泣せよ…」から歓喜、歓びの中で「恩徳讃(おんどくさん)」を表された…。
さー声高らかに「恩徳讃」を…と
斉唱して終えた。