特別養護ホームで出会った人

いつまでも、柱の影から、高らかな念仏の声が聞こえていた…、
その人が、西山先生…と呼ぶ。

覗くと…、ええ…!!
の出会いだった。
以前、中学校時代の恩師がおいでになり、
エエ!!だったが、
それ以上の驚いた。


「今は、ここ(老人ホーム)にいますよ。」
とおっしゃったその人は…
還帰なさったと聞いていた人だったのだ
( 後で確かめると、その人の奥さんがお浄土へお帰りになったのだそうだ )。


などなど、あって、
応接室で「ビハーラーと、ここの職員の研修に、先生に話してもらえたらいいね…」と
K女が話しかけ、
コーヒーを運んできたもう一人の教え子が、うなづいている。


そこで、しゃべりたがりやはしゃべる。
「そうなんだ、お年寄りに対する言葉遣いの問題とか…」、
十悪の中での4つが口から…などをお話しし、
忘れ物が多かった割りには、
なんとかいけたなァと思いながら


ところで「ここで一番偉いの誰?」と聞くと、
「私ですよ、さっき名刺あげたでしょ。」とK女がおっしゃる。


昨日、植物園へ入所者をお連れしたんですよ…。
お寺にお説教を聞きに行くのもいいかなァ…などおっしゃっていたのは、
「長」としての言葉だったのだ。


相づちを求め、それにうなづいていた教え子は、
ここのNO2なんだと。


出し合い話かと思っていたのだが、真剣な相談だったのだ。


そういう立場の年頃になっているのだ。


こちらは、
御同朋・御同行、四海皆兄弟で誤魔化すしか無いなぁ。


年とか肩書きとかから、
ようやく自由になりつつあるのだから…話がずれても仕方がない。


が、あらためて考えれば、
職員に
認知症の方も多いご老人とどう付き合っていくべきか、の講義をするとか、
お寺でお参りを…と関わるのは、望むところ…。


予算がついたからする、ではなく、いいと思うからやる、でいきなさいよ、
それで、私が必要なら ( 実際は、オレガイルンヤッタラ、と言った ) 、
講演料なんていらない、どれだけでも手伝うよ…


チョコレートしか持ってこなかった無念さを振り払うように、
どこまでも格好良く決めた。