「節談説教の風土」を書くに至った経緯
この本、すなわち「大系日本歴史と芸能」には、
「音と映像と文字による」の副題が付いている。
この副題に見られるように、ビデオと解説・論によってとらえた画期的な全集で、
15年前なのに一冊12000円した本である。
「大系音と映像と文字による日本歴史と芸能 第5巻 民衆宗教の展開 踊る人々」箱。
(右)ビデオの箱
この『踊る人々』にビデオで取り上げられているのは、
1、跡部の踊り念仏
2、空也堂の踊り念仏
3、東佐味の六斎念仏
4、小山郷の六斎念仏
5、木原大念仏
6、永井の大念仏剣舞
7、鬼来迎 8、壬生狂言
それに9、節談説教である。
節談説教以外は、「踊る人々」に相応しい踊りを伴う芸能である。
そういう中にあって、能登節談がここに混じるのは、いかにも不自然な印象を受ける。
聞いている人は泣き、笑いなのだが、
高座でのお説教が、踊る人々?
このシリーズの編集委員が、
網野善彦、大隅和雄、小沢昭一、服部幸雄、宮田登、山路興造の諸氏。
能登で節談説教に出会われ、感動なさった網野先生が、
強く節談説教をこのシリーズー全14巻ーのどこかに入れるべきことを主張され、
予定外ではあったが、掲載が決まったと聞いている。
そして、広い意味で、念仏(芸能)に含まれる説教を、
念仏踊りが中心のこの巻に含めたようだ。