聖徳太子講ー『書府太郎ー石川県大百科』の原稿

『書府太郎』上巻p763に次の記事を書いた。

太子講 たいしこう 
職人集団の講。
主として大工職人たちが聖徳太子を祀る。
日本最初の本格的建築物である法隆寺四天王寺聖徳太子の発願によって建てられたことから、
太子は建築の祖とされ、
建築に携わる職人たちから崇められた。
職人宅が交替に宿元となり、
大阪四天王寺で購入した曲尺(かねじゃく)を手にした聖徳太子画像や、
浄土真宗寺院にある聖徳太子16才孝養(きょうよう)図を安置して講を営む。
師匠寺住職による読経、法話のあと会食。
仕事始めにあたって1年間の申し合わせや賃金などを決めた。
大工の賃金が決まるとそれに従って屋根瓦職人の賃金が決まるというほど重い意味を持つ集まりで、
太子の前でそれを行うのである。
大工仕事の分野も多岐にわたるようになったため、
近年は親睦と報謝が中心になって
いる。
1月3日太子講を行うところが多く、
太子の忌日である2月22日を当てる地区もある。
珠洲市宝立(ほうりゅう)町馬渡(まわたり)のように職人の減少に伴い、集落全体の行事になっている所や、
建具の町・七尾市田鶴浜地区のように年2回営まれる所もある。