海のモーツアルト

朝日新聞の「天声人語」を斜め読みしたら、「ベートーベンは偉大な音楽家で、モーツアルトは唯一の音楽家」だと書いてあった。
ロッシィニーの言葉だそうだが、その後、30分ほど乗った車の中でも、同じ言葉をアナウンサーが語っていた。

モーツアルトブームなのか、どうしてだろうと思っていたら、今日が生誕250年に当たるという。

モーツアルトというと、カルメン・マキが寺山修司の詩を歌ったアルバム、「ろうそくの消えるまでー真夜中の詩集」が浮かんでくる。

モーツアルトを歌っているのは「二人のことば」。
  
「二人のことば
  …

このアルバムは、波の音からはじまり
「時には母のない子のように」「家なき子」そして、モーツアルトが歌詞にある「二人のことば」「戦争は知らない」「マキの子守歌」「山羊にひかれて」と続く。


寺山修司の詩のペシミズムとカルメン・マキの淡々とした語り、愁いを感じさせる歌声がハーモニーを奏でる、素敵なアルバムだった。


この次の歌が「だいせんじがけだらなよさ」。
「寂しくなると言ってみる」ではじまる歌は、言葉の妙を教えてくれた。
「逆さに読むと、あの人が、教えてくれたうたになる。」


どうぞなみなみ注がせておくれ。花に嵐の譬えもあるさ…。
さよならだけが人生だ。


宇武梁のこの詩と、「だいせんじがけだらなよさ」。
そして、波の音とモーツアルト


私にとってのモーツアルトの記憶は、波の音と響き合っている。