犬、狛犬


今年は戌年
賀状には、様々な犬が踊っていた。
絵も描けず、犬も飼っていないとなると、
狙い目は狛犬だろう。


外部で出会う造型の犬の写真を載せたものがあった。
『北國文華』でしばらく連載した「古仏巡礼」で、古仏の写真を撮ってくださった山岸政仁さんの賀状には、
両手でVサインをしている陶製の獅子犬?が印刷されている
(うまく表現できず、イメージがつかめないだろうから近々連絡を取って、お載せしたい)。


その他は…と、もういちど賀状を見直すと、
東大寺戒壇院屋根上の狛犬」、
沖縄で建物の屋根に鎮座する「シーサー」、
李朝菓子型」で、
いわゆる狛犬はなかった。
何となく神社の狛犬の写真が多いような気がしていたのだが…。


神仏習合のお寺、神社の参道などで見かける狛犬( 高麗犬 )にも、ユニークなものが結構ある。
賀状の戒壇院屋根上の犬(獅子)に似ているのは…、
ピンと来たのが富来町大福寺高爪神社の狛犬
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旧富来町:高爪神社狛犬(2005:平成17年4月18日撮影)

こういうガシャッとした感じで、よりユーモラスなものだ。


一方、まず出会うことがない狛犬もある。
山上の奥宮内などに鎮座している狛犬である。
神事などは麓で行ったり、奥宮の前で執行するため、
存在そのものが忘れ去られていたりする。


そういった狛犬の内、2つを紹介する。

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1999(平成11)年10月5日撮影:珠洲市
鎮守の森の山上に建つ奥宮の中の狛犬
一角獣であることに注意がいる。
この神社は元の山王社で、奥宮には天台の本地仏・神像が在す。
若山荘調査の折に出会った。


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2004(平成16)年12月7日撮影:門前町
堂内のご本尊を調べに行って出会った。
雷雨の激しい日だった。
案内してくださった方がおっしゃるには、
その堂の格子の内部には、焼けた仏像と犬あるいは狐がいる、という伝承はあるが、
誰も見たことがない、とのことだった。
ようやく扉を開けて見ると、
三つの間のうち一つは金比羅神を祀っており、
神像(難陀龍王像かも知れぬ)をお守りするようにして在った。


人知れずに密かに鎮まっている狛犬は、
まだまだ多くあるに違いない。