急転直下それとも電光石火
東京駅を歩いていたときだった。
知り合いが「そこの階段は(避けよ…)」というので、
ひょいと覗いた階段に何人もの人が座っていた。
ビシッとネクタイをして…。
リストラによって会社を首になり、家族にはそのことを伝えることが出来ず、いつものように出勤し、いつものように帰る。
と、いうことが話題になっていたときだった。
その人たちが、勤務時間を過ごす一つの場所だったのだ。
あの光景に出会ってから、かなりの時が流れた。
その後、オレオレ詐欺とか信じられないことが起こってきた。
私のところにも「何だかの支払期間が過ぎており、お金を払わないと裁判にかける」という葉書が届いた。
関係機関に聞くと、あちこちに同じ物が届いており、どうもインターネットで買い物をしたことがある人のところに届いているようだ、とのことだった。
ネクタイをして階段に座っている人を生み出した社会と、
反比例するかのように、はしゃぎ、笑い回っていた人たちが逮捕された。
いうまでもなく、TV局がその人物たちをことあるごとに放映し、
価値をドンドン付加していった。
なのに、どの放送局も、
こうなるのが当然かのように、
主人公の「金」にまつわる話ばかりを、巧みに、あるいは意図的に組み合わせたドラマを作り上げている。
それで、つい朝からTVをつけてしまう。
間違えたら失礼なのでチャンネルはどこだったか…。
キャスターというのだろうか、男性の司会者が「急転直下、逮捕となりましたね…」と若い弁護士さんに話題を振った。
「電光石火ですね。」と受けて、
意見をおっしゃった。
ついで、どなたかがフンニャラ、とお話しなされた。
その次に、女性が口を挟まれた。
「この度の、急転直下の逮捕は…」
急転直下、電光石火。
どちらがいいのだろう…。