「雪下ろし」覚書

あちこちで「雪下ろし」が話題になっている。
豪雪。


地域住民でなく、他地区からも比較的若い人が応援に入り、
雪下ろしの手伝いをしている、そういった映像も流されている。
お怪我がないよう…。


有名な38豪雪を始め、
大雪には相当出会った。
ある時期まで、年に6、7回は雪下ろしするのが普通だった。


かつての我が家の屋根は勾配がすごく緩やかだった。
しかもコバを幾層にも敷き詰め、横木を渡し、
その上に団子石が点々と置いてあった。
だから雪は平野と同じようにつもる。
さすがにある時期に瓦葺きになった。
それでも傾斜は変わらず、雪はそのまま積もった。
これが大屋根で、小部屋の上の小さな屋根があちこちに吹きだまりを作った。


傾斜を求めて、屋根の上でソリを滑らせ、
竹スキーでも遊んだ記憶がある。
今から思うと、雪下ろしをし、
屋根と下の雪がほとんど接した状態になっていたから出来た遊びだった。


一方、本堂の大屋根(ここは雪が自然と落ちるくらいの勾配だった)から雪が落ちると、地面と屋根が雪でつながってしまう。
屋根雪が落ちる音を聞いて、
雪の圧力が本堂を押し建物が傾くからと、
父は、真夜中であっても郷史手伝え…
といいながら繋ぎ目を切りに出た。


そのような地道な生き方をしていた父の姿は誰も知らない。
それだけに頭が下がる。


そういうあれこれで、
大雪対策は暖冬になるまで続いた。


さて、屋根に上がるときには、長靴の上部と下を荒縄でしっかり結ぶ。
上部は雪が中に入らないようにするためだし、
下の方は滑り止め。


踏み固め踏み固め、
屋根の下から3分の1ぐらいの所で辺りを踏み固め、
しっかりした足場を作る。
そうして、四角に雪を切り、
下に放り投げるのだ。
 

屋根の雪下ろしは、晴れ間に行う。
そうすると、あちらでもこちらでも雪下ろしをしている人を見かける。
少年心にうまいなぁ、
と思って見たのは大工さんだった。
ケーキを等分に分けていくように、
本当に綺麗に雪を下に降ろしていかれた。


回りの雪ををがむしゃらに降ろすのではなく、
屋根の下部から上へと降ろすのだ
(逆かも知れない。道をつけて上から下?下が先だと…、やってみないと思い出せない )。


これだけは知っていなければならないコツがある。
どんなに注意していても、角度を誤って雪を取りすぎ、体重を支え切れずに雪と一緒に滑り落ちてしまう場合のこと。


この時、屋根にとどまろうとすると危ない。
一緒に落ちる。ここが重要なのだ。
立っていれば落ちる瞬間近くに、できるだけ遠くへ飛ぶ、
滑って座った状態になった時は、落ちる瞬間両手で軒先を押し、遠くへ押しやるようにする。
それをやらないと、内側、ガラス側に転げ落ちたり、スコップと絡み合い、けがをすることがある
(その頃は板戸の上部にガラス窓がついている戸が多かった)。
下は雪、
落ちてもけがはしない。
足下が動き出したら、できるだけ雪の多いところに落ちよう…。
このことは絶えず忘れないようにしておく。

くどいようだが、屋根に残ろうとすると思わぬところに落ちてしまう…のだ。