北原謙二「忘れないさ」の東京方言ー見たゆうしーと小咄「山鳥」

 今年逝去なされた北原謙二の「忘れないさ」二番の歌詞。

よく似合うね、真っ赤なリボンが、『幸せ?』と、聞いたら、
はずかしそうに、爪を噛む。
小川の岸で、見た夕陽…

の「夕陽」のところ。


どう聞いても、見た…ユウシ、なのである。
さすがに、岸で見るのだから、「勇姿」ではなく「夕陽」だと思って聞いてきたが、どうしてこの歌手は、「ユウヒ」を「ユウシ」というのだろう、絶唱になると、ヒがシになるのか…などとも考えていた。

 
東京方言に、「潮来のイタルオウ」(橋幸夫潮来笠)の巻き舌があることは、つとに有名だったけど、これも、そうだったのだ、と知ったのは随分後のことだった。


北原謙二の歌を聞きつけてきたおかげで、この前読んだ小咄「山鳥」がすぐ理解できた。

「おとっつぁん、百人一首の人麻呂の歌に出てくる、山鳥という鳥はどんな鳥だね?」
「そりゃあ、めっぽうきれいな鳥さ」
「そして、その山鳥のしだり尾は長いのかね?」
「そうさなァ、右の尾より、ちったァ長かろう」(瓢百集・文化四年・1807刊)

解説には

しだり尾を、左の尾のつもりで、当てずっぽうに右の尾に比べて、ちょっぴり長いと言ってしまったが、そうすると左右別々に一本ずつ尻尾があることになる。なんともいい加減な親父だ

と書いてある。これじゃ、ちっとも面白くない。

学者よ歌を聞こう!…だ。


そして、「天声人語」では、春、56才でなくなった「高田渡」について書いている。
色々だ。 
そして、色々あった今年も、あと4時間。


部屋の掃除をしなっくちゃ…。