年中行事-フキ刈り-29日、30日

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この時期、11月の報恩講お斎に用いるフキ刈りが行われる。
昨晩は小さなアマガエルがいた。
多くのいのちがフキの葉の下、フキの葉の露を糧として育ち、
今度は、一年の報謝の行事に用いられるべく、刈られる。

フキを刈り、束にし、茹で、皮をむいて保存。
数名、2日がかりの作業である。

民謡・労作歌に
ミョウガ目出度い、フキ繁昌……と唄われてきたが
茗荷を冥加、蕗を富貴とあてての、歌なのだが、ここには人々のいのちを守る
もっとも身近で、食べやすい栄養のある植物であることも、冥加・富貴に籠められているのである。

がめがち唄
五月二十日頃の農作業、畦叩きに歌われる。秋から春にかげて、蛇やモグラがあけた畦の穴を叩いて埋める仕事で、曲節は石場がちと共通。がめは酒飲みの意。転じて仕事する者の自称にも。
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○(エェー)おらがお背戸に(ィ)茗荷と(ォ)蕗と(ヨォヨォイヨィト)みようが目出度(ァ)い ふき繁昌(ヤンサー・ヨイトコナァ・アーッ・ヨイトコヤッサ・ヨィトヨィト)(瑞穂)
1「これのお背戸に茗荷や蕗や」(『延享五年小歌しようが集』一七四八年成立。『続日本歌謡集成』巻三)。
安芸国竹原祝儀唄・大和国餅搗唄・信濃国祝儀唄・.越中国麦屋節(続帝国文庫『日本歌謡類聚』下巻 明治三十一年刊行。大和田建樹編)。
2庭。
3茗荷と好運・神仏の加護を意味する冥加との掛け詞。
4蕗と富貴の掛け詞。蕗自体の繁殖力も豊かさを象徴。「一つ祝ひましやうこれの屋敷は目出度の屋敷 茗荷でたの蕗繁昌」大阪市・石掲唄(『日本歌謡類聚』)。

石川県『能都町史』第一巻(昭和五十五年五月刊、西山郷史執筆)

これらの歌を聴き取ったのは、40年ほど前のことだった。
次々と、労作歌が飛び出てくるのに、驚いた記憶がある。
歌って下さったのは、ほとんどが明治生まれの方々だった。