祠堂経・永代経

私たちのところでは祠堂経だが、永代経というところもある。
それで、どこかで見かけた永代祠堂経、あるいは祠堂永代経を使ってみたりしているのだが、
真宗初期の百科事典とでもいうべき『考信録』(安永3年・1774、玄智著)には次のように記している。
「今時永代経ト称シテ檀越ヨリ若干ノ銭財ヲ出スレハ、
僧侶コレヲ常住ニ納メテ、忌日コトニ読経スルコト差降種々ナレトモ、大途ハ同シ。
是、諸宗一統ノ事トミユ。
案スルニ、永代ト云ヘハ、ソノ際限アルヘカラス。
大院名刹ハ且ク論セス。
小寺・艸庵ノ類ハ変事無時、永代ノ法固必スヘカラス。
僅ニ五十年百年ヲ歴レハ、其式廃退スルモノ触目ミナ是ナリ。
施主ノ素志、何クンカアルヤ。
些少ノ施財ヲ利シテ、永代ノ事ヲ保任スルコト軽卒ノ至ト云ヘシ。
今家ニハ、古ヘ、コノ事ナカリシニヤ。
旧記ニ永代経ノ名ヲ検セス。
祠堂経ト称スルヲ正ト云ヘキカ」
永代は無限なので、普通の小さな寺庵で、それを保証し、願う方も些少の施材で永代を担保にするのは軽率と言うしかない。
当流には、永代経を名乗ったこともないようだ。
祠堂経というべきであろう。
というのである。

永代には、寺庵の願いも籠められているととらえれば、どちらでも可となろう。