早船狂言ー蛸島秋祭りー

久しぶりに、早船狂言を見てきた。
蛸島の秋祭りは10日、11日。
210日の頃に行われ、海の男たちが航海するときの、天候を確かめ合うやりとり(狂言)が行われる。
海国石川でも、珍しい港の芸能で、県指定無形文化財になっている。
当然、このブログでも触れていると思って、検索してみたが、ほとんど触れていない。
県指定の時に、関わったので、詳しく紹介しておく。
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北陸中日新聞12日朝刊
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早船。工芸的に優れた弁財船(渡海船・北前船)。
平成8年9月14日、石川県指定無形民俗文化財になった。
その文化財名が「蛸島早船狂言 附早船 1隻(附属船具・伝馬船を含む。)、木偶 9個」で、早船も貴重な文化財である。
指定に向けて調べた頃に比べ、特に木偶が綺麗になっている。
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蛸島では、キリコの巡行しか見た記憶はなかったのだが、今年、じっくり見てみると
太鼓山ー御輿ーキリコの順での巡行だった。
入り宮を遅らせようと、なかなか進まない太鼓山を見ていたら、獅子がいることに気づいた。
獅子ー太鼓山…の順だったのだ。
紅白の縄の先は、太鼓山。大変上手なバチさばき、それが長い時間乱れがないままに続く。
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金箔・漆の塗りで、豪華さでは最高のキリコ。
17本(今年は15本)出ており、一部は入り宮を待って午後10時から始まる早船狂言とタイアップして別ルートから神社へ向かうとのこと。
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「早船狂言」。
向かって右ー船頭・長右衛門、左・艫(とも)取り・猿之助
早船狂言の出演者は、この二人と、口上人の三人である。


ところで、3人しか出演できない、となると、多くの子供がいた頃は、狂言に出演出来ることは、夢であり名誉であった。
私が教員をしていた頃、教え子が早船狂言に出る年を迎えていたから、少なくとも25年前のことだった。
出演者は、早船狂言保存会で決めることになっているが、
その年は、どどうしても出たいという若者が4人いて、調整を重ねても引くものがおらず、どうにもならなくなった年があった。
親しくしていた保存会会長さんが学校においでて、どうしたらいいか?(あるいは、先に方針が決まっていて)、由緒を書くことになった。
江戸期からの舞台で、抑揚をつけた台詞や、口上である。
この芸能の意味、台詞の内容などを、一文にまとめ、それを読み上げる役を作ることで、4人問題を乗り切ったのである。
そんな文を書いたこともあったなぁ…!
と、一人感慨に浸りながら、舞台を見ていると
なんと、
まだ、その文を読み上げていた…
誰が書いた文なのか? 
知らないままに伝わっているのだろうなぁ