12月31日、5月17日、[真宗365日]「今現在説法」ー『癌告知のあとでー私の如是我聞』

この本には相当感動し、何冊も買って、何人かにお配りしたはずである。
今、再び読んでみて、「今現在説法」が強く胸を打った。


以前は、この言葉ではなく、一人の篤信の方の行き方に惹かれたと思うのだが、
受け止め方が、違ってきたのは、それは一つに様々な事を包み込んでの年齢を重ねてきたこともあるだろう、
それに、鈴木章子さんが文の中で取り上げられておられ、感化も受けなさったのであろう東井義雄氏、林暁宇氏の存在を、どこかで気にしながら読んだのが、お二方とも亡くなっておられるはずで、
そのことが直接、鈴木章子さんとの対話になった。
そのせいなのだろう、文・詩がビンビン響いて胸を打ち、
今、部屋に「今現在説法」と書いて、張っている。

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この方の「如是我聞」の一部を抜き取っても、深さの一端にも触れ得ないことは分かっているが
数編紹介させていただく。

悲しみ

 別にこらえたり
 我慢したりすることはないと思います
 おんおん泣いて
 涙を出しきってみると
 涙でかくれていたものが
 ポロッと顔を出してきます
 本願力様に会えるのですね

ベット

 説法はお寺で
 お坊さまから
 聞くものと思ってましたのに…

 肺癌になってみたら
 あそこ ここと
 如来さまのご説法が
 自然にきこえてまいります
 このベットの上が
 法座の一等席のようです

おあさじ

 癌になってから
 親鷺様が毎朝いらして
 お正信偈をお聴かせ下さる
 蓮如様がいらして
 お文をお聴かせ下さる
 うす暗いお内佛の間に
 灯明に照らされた
 南無阿弥陀佛の名号と共に
 数えきれぬ方々が来て下さる
 章子一人に
満堂の
 ご講師様
 先達様
 善知識様
 もったいないことで
 ございます
 (昭和六十三年十一月一日)
昭和16年5月17日 北海道常呂郡ー現北見市留辺蘂町で生を受く
昭和39年8月 結婚、真宗大谷派西念寺坊守となる(北海道斜里郡斜里町本町39番地)
昭和63年12月31日 還浄

縁・きっかけ

本を読む時には、色んなきっかけがある。
いい本に出会う「縁」があったことになるのだが、
この本を再読するきっかけになったのは、一つの歌碑から始まる。
珠洲の木の浦・千本椿近くの森の中に
大月みやこ・飯田三郎(作曲)・高橋掬太郎(作詞)コンビの「奥能登ブルース」の歌碑があって、
時々、そのことを話すのだが、ほとんどの人が知らないという。
飯田・高橋コンビで「ここに幸あり」「啼くな小鳩よ」を作っており、高橋氏には「古城」「雨に咲く花」「酒は涙かため息か」「石狩川エレジー」などがある。
それに大月みやこ、とくれば知られていないのが不思議なのだが、
調べてみると、大月みやこが売れ出すまでに20年かかっており、
「奥能登部ブルース」はデビュー2・3年目の曲だったのである。
全く売れていない頃の曲だったため、知られることもなく、そのまま
現在に至ったと考えるべきなのだろう。


そのような曲のいきさつを調べているうちに、飯田・高橋コンビが根室出身であることを知った。


その時、ふーっと、あの鈴木章子さんは根室近くの方ではなかっただろうか?
と、思い、本を手にしたのである。
そして、「今現在説法」(阿弥陀経)に出会った。


留辺蘂は読めなかった。
「るべしべ」という。



留辺蘂斜里町根室
一度は訪れてみたい
夢のラインだ。