珠洲の氷室ーひむろー

昨日まで残っていた本堂うしろの雪が、お朝事の時に見ると、消えていた。
もう今年の暮れまで、家回りで雪を見る事はない。

後ろに道路が付き、かなりのタブを伐ったため、雪の消える時期が早まった。

私の子供の頃は、5月の連休に、魚屋さんが本堂後ろから雪を積み出し、リアカーに載せて、運んでいかれたものだった。


もう、記憶している方は少なくなっているのだろうが、
漁師町である飯田町の小字吾妻町の浜では氷室を作って雪を夏場まで残したものだという。
氷室といえば、7月1日(鬼の牙、煎り菓子盆、氷室の朔日)に加賀藩が徳川家に贈る為に設けられ、現在もその伝統を伝える湯涌(金沢市)の氷室が有名だが、
吾妻町でも、雪小屋でも雪溜めでもなくヒムロと言っていたようで、
私にそのことを話してくれた地元の人の感覚からすると、金沢にもヒムロがあるのですか…、という感じだった。
わずか数十年で、すべてが電気製品に代わり、その暮らしが、今、問われている。