古本ー父の本棚ー戦中の頁削除

去る29日(日)、金沢でー一箱古本市ーという市が開かれたそうだ。
「BOOK LIUM」さんという方のブログで知り、面白そうだと思ったが、私の仕事は土日が多く、見に行くのをあきらめた。
代わりに(というほどでもないが)、「戸坂潤全集」を持っていたのかどうだったか確かめるために、
昨年本を移動して、まだ未整理の書庫へいって、ついでに何冊かの古い本を引っ張り出してきた。
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『東西名詩集 西條八十 吟詠漢詩集 盬谷温』(キング新年号附録)
最近関心を持っている西条八十
金子みすゞを見いだし、「風」の訳詩、これは若鷲の歌作詞の頃だー
が編集した詩集で、早稲田大学教授となっている。
これは珍しい。キング・昭和11年1月号の附録。7大附録の第3附録である。
108編の詩が載っている。
ついでに、寺山修司編著の『旅の詩集』『日本童謡集』も同じ棚に並べてみた。
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父が購入したのであろう本の何冊かをパラパラめくっていたら、これまた珍しい本に出会った。
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25頁をめくると、
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次の頁が
「本欄第二六頁は出版法第十九條に抵觸、其筋より撤去を命ぜられ、餘儀なく削除仕り候。
讀者諸士あしからず御諒承願上げ候 一生堂書店主謹白」とある。
讀者諸士、がいい。
どこか無念の思いがにじみ出ている。
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奥付。
この本は、昭和8年3月6日発行の『調和の饗宴(佐々木月樵先生追悼記念講演集)』で、
佐々木月樵、暁烏敏、曽我量深、安藤州一、多田鼎、金子大栄、山邊習學、宮本正尊といった錚々たるメンバーが執筆している。
検閲本『調和の饗宴』PDF
当然、出版法第十九条を調べた。
当然、どこが当時ひっかかったのか、暁烏敏全集で調べた。
フーン…
うなるしかない。