「彼岸の人」長田弘

本山(東本願寺)から、「お彼岸・おひがん」という冊子がでている。
全部で16ページ。50円。
そこに、長田弘さんの「彼岸の人」という詩が載っている。
47行の詩だ。
見開きページの背景いっぱいの写真は
山岳と森に続く平原の一本道。
朝もやの棚田
森とみずうみ
の三枚で、
詩の深みを
さらに深めようとしているようだ。


なんとはなしに、
オサダヒロシか……
と、詩をながめていた。


記憶が沈んでいく
70年代にかかる頃…
オサダヒロシはいいぞ!
と言った友がいたはずだった。
誰だったろう?


友が言ったのではなく、
ユリイカ」の現代詩特集号でひきつけられた
自分の声だったのだったろうか…
あの詩は…
確か「クリストファー…」だった。


本箱を訪ねる。
あった。
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(1970年4月第三刷を購入している。320円。)


「クリストファー詩篇」だった。
「われら新鮮な旅人」のあちこちに線が引いてある。
ユリイカ」は、「われら…」の方だったろうか。
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(「われら新鮮な旅人」4部構成。1000行を超える長編詩。
写真は2部7作の中で「パッション」の部分)


「あなたのやさしさがこわかった」(「神田川」)
を初めて聞いた時、
この逆説と相乗しあっての、
衝撃だったような気がする。



この方が、今も活躍なさっている。
「彼岸の人」、
間違いなく
これらの詩の延長にあって
それは、「いとほしさ」の加わった感性…
その輝きではないかと思った。

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ヒ ガ ン ノ ヒ ト…