「藏見村(珠洲市三崎町)唯観」伝

能登志徴』下p357に「沙門唯観伝」が載る。
そこには「緇白(しはく)往生傳に、僧称意。諱唯観。能州珠洲郡藏見郷人也。…奄然而化。寛文十二年八月二十五日亥時也。云。」とあり、「緇白〈しはく〉往生傳」が引用されている。
 その次に引き続き他文献の引用を示す○があって「能登誌に、日本往生傳に…」と能登誌=『能登名跡志』の一伝本が引用されている。

 ここの記載から、藏見村の唯観が当麻曼荼羅を写し画き、「今諸人の拝む所の当麻曼荼羅は、此唯信のゑがける写しといへり」とあるのを覚えていた。

 いつか機会があったら、大日本仏教全書あたりに「緇白往生傳」が収載されているだろうから、確かめねばならない日が来るかも知れない程度に思っていた。
 

 本箱を整理していたら『叢書江戸文庫16 仏教説話集成[一]』(1990、国書刊行会刊)があったので、一度くらい目を通しておけと思いパラパラとめくっていくと、
 「善悪因果集」という書物の中に「念仏行者ノ僧瑞相アラハルゝ事」というタイトルの文が
「近き頃唯観坊ト云人アリ。字ハ称意、生国ハ能登ノ国藏見里ノ人ナリ。…」から始まっている。
 あの唯観だ。驚いた。

 そこで、「緇白往生傳」を何とかみたい。いくつか調べたいことが貯まったら県立図書館へいってこよう、と先日購入した「大日本仏教全書」の書目索引を調べていると一一七巻に「緇白往生傳」があった(ミスで一〇七巻目だった)。
 この一〇七巻目というのは『日本往生極楽記外十二部』にある。
 本箱を見ると、なんとこの巻を買ってあった。

内容検討は先のことだが、まず資料整理。

「唯観」が載る書物ー『能登志徴』『緇白往生傳』『善悪因果集』と内容

能登志徴』下編
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今気づいたのだが、唯観と唯信の2名の人物が登場している。『善悪因果集』によれば唯信が兄、唯観が弟となっている。


『緇白往生傳』
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『善悪因果集』が載る『仏教説話集成[一]』西田耕三校訂
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