比較民俗学会・日韓シンポジュームin輪島

29日、今日の「日韓シンポジウム」に話す内容へと、考えを移していった。
どういう研究会なのか、どうしても分からない。

始めに届いた予定では、基調講演3、報告9,
となっていて発表者の所属は韓国の大学が多いような印象だった。
メモ書きのレジメを21日に送ったところ、日本語と韓国語のレジメを送ってきて、間違いがないか? 
とあったが、そのままにしていた。
連絡してきた方が、専修大学の教授。
大学の生き残りをかけて、各地で研究会を開く、そのひとつだろうと思っていた。


一方、比較民俗学会日本事務局名での連絡もあったから、
韓国、中国などの東アジア圏にまたがる学会があるのだろう、とも思っていた。


専修大学なら、お世話になった網野先生のお嬢さんが先生をしている。
奥さんと懐かしい能登へお越しになるのもいいのじゃないかと思って、
最初にお話しがあったときに、網野さんにも声をかけてみたら…と電話口で話した。
専修大学の行事だと、全く疑っていなかったのだ。
今日、網野さんの御発表もあった (非常に立派な発表だった)。


会場に顔を出した時点で、いろんな事が分かった。
50名余の人が会場においでたが、
大部分の方々が、韓国の大学の先生や文化財などに関わる人たちだった。
比較民俗学会は、韓国が主で、日本に支部があるのだという。
発表者も、哲学博士、文学博士、大学の名誉教授など。
大学院レベルの学生が多いのかと思っていたのだが、わざわざ日本にまで出向いて研究発表をするのだから、
大学名はそこの先生方と見るのが自然だったのだ。
しかも、28日に歓迎レセプションがあって、今日の研究発表、
8月2日に帰国するまで祭り見学その他の日程がぎっしり詰まっている。

そういうことを全く知らずに、基調講演30分とだけ聞いていたので、調節のしようがない。
発表30分からして、通訳入りの半分なのだ。


6年前に4日間一緒に調査した4人の内2人が参加されておいでたが、
当時3番目のお年だったはずのチェさんが名誉教授になっておられ、全体の講評。


あの時、一番気があったというか、話が弾んだ全南大学名誉教授だった池さんは、基調講演の予定者になっていて、
お会いできるのを楽しみにしていたのに、
体調を崩されたとかでお見えになっていなかった。
池さんは、海が割れる珍島〈ちんどん〉を有名にし、
ソウルオリンピックの開会式を演出なさった方だ。


当時もっとも若かったユンさんの姿もあった。
広島大学大学院の教授になっていた。
6年の時の流れは、速い。


午後の司会をユンさんが勤め、
通訳は最初から龍谷大学で教えているパクさんがなさった。
まさか、こういうメンバーでの研究会だとは思っておらず、
日本の学者を意識していたため、結果的に私の話は相当難しいものとなった。


だいぶ解きほぐして話したつもりだったが、仏教国でない方々に、
東・薬師・瑠璃光浄土、南・観音・普陀落浄土などといっても、
それがレジメに書いてないのだから、イメージの作りようがない。


それぞれの方角に、素晴らしい方がおいでになり、理想の国をお持ちになっている…といったような、説明をしなければならなかったのだ。
 
 
で、韓国語で司会しているユンさんの話が分かるはずもないのに、
なぜか、西山さんの話は難しかった、と言ったように聞こえた。
難しかった?
と聞くと、
地名・名前が難しい…と彼は答えた。


いい勉強になった。


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会の様子。一番左手前がユンさん。
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韓国語の目次

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韓国語で紹介された私のレジメ。

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民俗音楽研究所代表・文化財庁専門委員の方が下さったCD。
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名刺の表が韓国語、裏が英語で分からないのだが服飾の専門家が下さった本とその方の紹介。


7割方、韓国語に包まれていた1日だった。
30分の発表が韓国語ばかりの時は音楽を聴いているつもりで過ごした。


チェさんが、韓国での春か秋の大会に発表に来ないか、
と誘ってくれたが、金沢でさえやっと…。


おもいもかけぬ研究世界を覗いた…ということにして、
元の生活に戻ろう。