『地酒天国いしかわ県』とガイドブック『北陸』

『北陸』の時は、書かないかと言ってくれた編集者や高岡町にあった十月社の雰囲気をよく覚えているのに対し、
『地酒』の時は、どうしてこの本に書くことになったのかさえ、ぼやーっと霞んでいる。
その2冊の間には、相当時間差があったはずだ。
 

実際は、『地酒』の方が7年前だった。
当時のノートを見ると、5月20日に原稿依頼。
その日杜氏組合で聞き取り、
総体予選引率を終えて6月1日に杜氏の宮下才次郎氏に聞き取り、
3日に能登印刷出版へ原稿を送っている。
 

それまでに、『珠洲市史』『能都町史』『能登島町史』『鹿島町史』などの市町村史や
『都市の民俗 金沢』などの研究書、
あるいは「コミュニティ石川」「旅行読売」などの雑誌に書いてはいたが、
一般書籍に書いたのは初めてだった。


その時、男女の出版社関係者が、依頼(顔つなぎ、とおっしゃたかもしれない)に、私が勤めていた飯田高校においでたはずだ。
颯爽としたマスコミ風で、格好良かった、という印象がある。

 
そして、どうして能登印刷と出会ったのか、を考えていると、
その年の4月に同出版社から出版された『ふるさと文学探訪 鏡花・秋声・犀星』があり、
それは、さらに、昭和55年(1980)県高校教師たちで作成した『石川県高校図書館  郷土図書総合目録』の作業に繋がっている、
ことに記憶がつながっていった。


そうなのだ。出会い、きかっけが、思わぬ形でまずあり、次々と広がりを持って行った。
そして、いい企画を立てる出版社があり、
はつらつとした担当者たちが、生き生きと飛び回って本が出来ていった。
そういう時代の産物だったのだ。