小串祭りー輪島市

同じ日に行われるゾンベラ祭りの写真は多く残っているが、「小串」については
仲谷由美さんの写真を見た記憶しかない。

仲谷さんが書いた『能登のくにー半島の風土と歴史ー』を確かめると(p73)、白黒写真(イ)。
原板はカラーだったのに、白黒ページの方に写真が載ったのだ。
あらかじめ、どこそこが白黒、どこそこがカラーと決まっていれば、この手の写真はカラーに回すのが、結果としてそうなったのでどうしようもない。 
f:id:umiyamabusi:20060208130326j:image(イ) f:id:umiyamabusi:20060208130407j:image(ロ)

『図説輪島の歴史』に載っているかも知れないと確かめた。(ロ)がそうだ。
後の祭りだが、無理してでも行ってくればよかった(いつも気づくのが遅い)。


メモ書きにこの供え物がどのように解釈されているのか書いておく。
図説では、
「2月6日に行われるので「むいかど祭り」ともいう。
猿鬼への生け贄をあらわすという供え物を、海山の幸で小串に調える。
飯の当、酒の当と言う当組を定め、拝殿で皿を叩いて一年の安泰と豊作を願うので「皿叩き祭り」ともいう。


昨日の北國新聞
「氏子らは女性の黒髪、髪飾りをそれぞれ模した海藻、野菜などを刺した竹串を供え、一年の安泰を祈った。
祭りは、猿鬼に人身御供として娘を差し出すように求められた村人が、
娘の代わりに海藻などを渡して猿鬼をだまし、
難を逃れたという伝説にちなむ。(中略)
串は約90世帯に二本ずつ配られ、魔よけとして神棚などに供えられる。」


分析は置くが、
猿鬼をだましたというあたりが二次的(あるいは三次)展開、
また、ギバサに触れていないのが逆に面白い。
北陸中日新聞では、
「その昔、猿鬼に差し出す人身御供(若い女性)の身代わりにかんざしをまねたという小串〈こぐし〉や、
娘の黒髪に見立てたという海藻のギバサ(ホンダワラ)を供えて、(中略)
長さ約30センチの小串には、銀飾りに似せた三角もち、花飾り用としての干し柿、ゴボウ、ニンジン、山芋の5品を突き刺してある。(以下略)」


仲谷さんの文の由来はもっと詳しく、
寄り神とスペペという大きな犬が猿鬼退治に登場する。


静浦神社の祭神が猿鬼だとすると、もとは山王社だった可能性が強い、
というあたりからの謎ときだ。