散りゆく街路樹

昨日、知り合いの家で、薬草6種類を組み合わせたというお茶を頂いた。
その近い記憶があったせいなのだろう…、小学生のころの恩師が大きな葉7、8枚を手にしておられるのを見かけ、先生も薬草作りをなさっていると早合点し、足下に落ちていた同じ葉を、
「はい先生!大事なもの…。」とお渡しした。


先生は受け取りながら、「落ち葉が風に飛ばされて、困ってる…の」とおっしゃった。
舞ってきた葉とは思わなかった。


家へ帰ると、庭に、同じような落ち葉がどこからか飛んできて、雨に濡れた土にへばりついている。
綺麗な色づきようだった。どこに飾っておこうかなあ、といいながら玄関をくぐると、丁度そこにいた連れ合いが、裏の方に沢山落ちているという。


落ち葉に関心を示したのはかつてなかったことだ。
訪ねてきた知人と落ち葉を見に行った。
似て非なる葉ではなく、似ずして非なるものだった。


先生にお渡ししたのは、葉にいくつかのくびれがあった。
庭で拾ったのも紅葉を大きくしたようないくつかのくびれのある葉だった。
奥にあったのは楕円形の葉である。
似ているところは、大きく色付いているところだけ。


知人が言った。最初の大きいのはポプラ。
庭で見つけたのはツタ。
最後のは分からない。


名を知らないことからは、大きな誤解が生ずる。
大きな赤い葉っぱを、別なところ三カ所で今日は見かけたよ、と手紙にでも書けば、同じ植物が一帯に生えている地域なんだ、と思うだろう…。


違いが分かる植物学者、考古学者さんたちの懐かしい顔が、ゆっくり頭の中をよぎっていった。