証如版『御文』

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この「御文」の一通目は、
文明8年7月18日、「それ当流門徒中」の御文(第3帖13通目)。
その後は、「末代無智…」から始まる第5帖、22通。

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表紙。
背表紙は半分失われているが、金糸を用いた布で極めて美しい「御文」である。

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長年、御文をめくった手垢はついているが、虫食いも全くなく綺麗。
雲母漉きの紙は、紙魚を防ぐ効果があるのかも知れない。
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証如(花押) 
本願寺8代蓮如上人(以下上人略)ー9実如ー10証如ー11顕如ー12教如大谷派・東)、順如(本願寺派・西)… 
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鷺森別院蔵「証如版御文」より。
『実如判五帖御文の研究ー資料編』同朋大学仏教文化研究所 研究叢書Ⅴ、2003年刊、法藏館


○参考 国会図書館貴重書「御文」説明
御文とは、本願寺第8世蓮如(1415-1499)が浄土真宗の教えをわかりやすく書いて門徒に与えた手紙形式の法語のことです。蓮如の死後、各地より御文の下付を本願寺に願い出るものが多くなったため、本願寺では、御文の中でも特に肝要で頒布するのに適したものを抜き出し、5帖80通の「五帖御文」として編纂しました。
御文がはじめて出版されたのは第10世証如(1516-1554)のときです。今回指定した本は、その五帖御文13の第4帖で、末尾に「釋證如(花押)」と記されています。
漢字に片仮名を交じえた文章で、全ての漢字に振り仮名が付けられ、語句と語句との間隔を空けて句読点の代わりとする等、読みやすくするための工夫がみられます。室町時代以前に印刷された数少ない仮名交じり本の一例としても、貴重な資料です。
※ 証如開版の五帖御文の5帖揃いは大谷大学博物館、鷺森別院(和歌山県)の所在が知られるのみ。

鯖江市指定文化財 鯖江和田町、仰明寺紙本木版五帖御文 (5冊)説明文
御文は御文章ともいい、本願寺8世蓮如が各地の門徒に書き送った教義をまとめたもので、仮名文字でわかりやすく書かれている。蓮如は約260通もの文(消息と呼ぶ)を書き送っており、布教の中心的手段とした。その後、孫の円如がこのうちの80通を選び、10世証如のときに「御文」として出版された。