「他力本願」を巡って

最近、仏教用語に関する話題が新聞などに取り上げられなくなったように思える。
それは、落ち着いたというより、話題にもならなくなったのでは…
と、思っていた昨年
「文藝春秋」10月号の宣伝記事に
「他力本願からの脱却…櫻井よしこ」とあるのを見た。


今時、この用語をこのような使い方をする文章家がいて、
それを許す出版社がある…ということが不思議だ。
この人が書いたのは、「反日包囲網を打ち破るー日米韓31人の提言
韓国、中国「領土紛争」の深層」特集の一編である。
新聞紙上の宣伝で見ただけで、『伝説とロマンの里』原稿書きで忙しい時でもあり、
ただ、驚くだけでそのままにしておいたのだが、
真宗365日用に、かつての出来事にも触れておかねばと、考え始めてもいるので、、
2004年に「他力本願」のこのような使い方に対して
「本来の使い方を…」の記事が新聞に載ったことがあり、
私もそれに少し関わったことがあったので、もう10年近く経つが、
そのことに触れておこう…。

他力本願論争再びー教えの根幹”誤用”見逃せぬ

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2004年(平成16年)1月20日(火)「北國新聞
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「地鳴り」(読者投稿欄)
「他力」感謝し生きる(1月24日・木)、それでも難解な他力本願(1月25日)
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若者に「他力」指導せよ(1月27日・火)、言葉本来の意味理解したい(1月28日・水)
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20日の記事の後、読者投稿欄「地鳴り」での投稿記事が目立った。
問いかけもある。
それで、27日にメモしてあるように、一度投稿してみようと、投稿の仕方を調べた。
一方、この頃、同じ新聞社が出している『北國文華』という季刊誌に仏像紀行を連載しており、
その打ち合わせで新聞社に寄ったとき、「地鳴り」にでも書いてみようか…といった話しをしたようだ。
その時、当時の文化部部長から、話題になっているので、投稿欄に書くならもっと長い文で書いてみないかと進められ、
30日に書いて渡したのが、
次の記事である。


お西の金沢、石川教区で出されたパンフに、
同じ真宗とはいえ、地域も派も違う能登教区会の議長が文を寄せることになったのは、このような事情による。

他力本願の復権、「いのち」に目覚める言葉、「おかげさま」の心取り戻そう

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北國新聞」2月5日


この頃は忙しいときで、「門前町史」の調査、
同じ日には、NHK東京本社へ、大河ドラマ義経」での珠洲取材を陳情にいった記事が載り、
自治と教育」誌に「藻寄有隣と行蔵」の原稿を引き受け、
6日には仏像巡り「高勝寺延命地蔵」原稿を送っている。

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地鳴り
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その後

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「他力本願の復権」記事に載せるため、新聞社では『広辞苑』第5版をわざわざ買ったそうだ。
そこで、権威ある『広辞苑』では、この問題をどう考えているのか、
あまり期待せずに記事を同封して送った。
ところが、編集部の記者氏から、教典、各版のコピーなどを付けた、丁寧な返事が届いた。
さすがだと思った。
信頼・信用は、このような対応から培われる、のだと頷かされた。
(一方、本を送っても受け取ったとさえ言ってこない人、が増えている)
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京都時代に知り合った県内の後輩で、その後もただ一人親しくさせていただいていた香城覚師(2003・平成15年・4月22日還帰)の母上からのお手紙。
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能登島の方。この方の聴聞姿勢には、学ぶところが多い。
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津幡の方。


この後、尊敬する故・堀田成雄さんから
羽咋の粟生公民館での講演依頼を受けお話ししたとき、新聞を持って来られた方があった。
そこで、急遽、真宗的な話題に変えたり、
小松教区の重門徒と呼ばれる方々の集まりで、旅館「法師」お話ししたときも、この記事が話題になった。