『漆の文化史』四柳嘉章氏著

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22日に届いた。

発刊される岩波新書のすべてを購入していた時期があり、岩波新書には特別の思い入れがある。
その、岩波新書能登から生まれた。

大学も、短大も、県立の図書館・博物館・資料館もない旧能登の国に在って、これだけの成果をあげられた努力に、
頭が下がる。
表紙見返しの文、抜粋
「著者は、縄文から近世まで、土中より発見された漆製品に科学分析の光をあて、その謎に迫る。
民俗学の手法や絵巻物・文献資料も活用。
名品鑑賞からだけでは到達できない、初めての文化史を描き出す。」

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新書用封筒。
そう見かけるものではないようなので、紹介。
宛名書きは、四柳氏。
これだけ字がうまいと書いていても楽しいだろうし、柔らかな筆致からは、スラスラ文が浮かび、さらさら文を書き進めていく氏があるような印象を受ける、が、
思索に思索を重ねられての成果であることは間違いない。
偉いのは、いつ訪ねていっても、よおよお…とお会いくださり、
しゃかりきに原稿書いていたぞ、思考を妨げないでくれ…
といったお顔をなさることがないのだ。


若い頃に出会った敬愛する某先輩は、訪ねると
頭にタオルを巻いて、手には…どうだったかな…、
さぁ見たとおり今まさに書いてる最中なのだ、
お前らをかまっている暇なぞない…、
たいした用事があるわけでもないのだろうし、顔を見たらさっさと帰れよ…
のポーズープンプンで会ったものだった。

事実、会いに行く用といえば、どんな格好で出ておいでるかな、
たまに見てこよう…、だったのだから、
おじゃま虫でしかなかったのだが、

まぁ執筆者というのは、そういうものとの思いが積み重なっているので、
全くそういうそぶりを見せない彼に対して、
本当に書いているのだろうか?と思っているうちに、
ちゃーんとできあがってくるのだから、
様々な面で、感服するしかない。