ぞんべら・ゾンベラ祭りー輪島市

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ゾンベラ祭り。昨年撮影
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『石川県子供写真風土記』より。昭和48年刊


昨日は月遅れの七日正月
イカトシコシ、7日にかけて様々な行事が行われた。


ぞんべら祭り(門前町鬼屋・鬼屋神社ー旧神明社)
若子祭り(珠洲市清水町、近年若子がいなく行われていない…
今年は1名の若子ー数え3歳児ーがいて執行された)…。


6日夕方、「人身御供の民俗論」をパラパラ眺めていて、
「小串祭り」はいつだったかな?とふと思った。
それで、『石川の祭り・行事』で確かめた。
6日。小串もその日だったのだ。
先に分かっていても、今年の雪では、大沢(輪島市)まで行こうという気が起きなかっただろう、
と思いつつも残念な思いはぬぐえない。

「済度される鬼神」を書く上で、重要な要素を持っている祭りなのだ。
 

そこでは、
神馬草(義馬草・ギバサ)を女性の髪に見立てて供える。
同じ髪と関わりのある剱地の黒髪神社はお小夜を祀る。
そして、恋人の重蔵は親(輪島)で奉られた…。


そんなことを連想しつつ、去年も相当寒い日だったのに、
ぞんぶら祭りを調べに行ったことを思い出した。
ノートに「雪道あやうし」などと書いてあるから相当冷え込んでいたのだろう。
車は鬼屋集落におき、歩いて鬼屋神社に向かったのだった。


それまでに1・2度神社前を車で通っているはずなのだが、
その時は、違う道から山道に入ったため、途中の建物に、
これが鬼屋神社?誰もいないな? もっと先なのだろうなァと通り過ぎ、
雪の上の足跡を頼りに小さな社にたどり着いたのだった。

農之次第

「ぞんぶら」は13段に構成されている古い儀式次第・「農之次第」に基づいて行われる。
次第の詞章最後の「田囃子」では、
祭主役が「…雀のちうちう、雉子の思ひ羽、鴨の曲がり羽、乾の隅に納めや置いたり」と三辺かえす、
となっており、鳥追いの要素もある。


この時、座中からは、三辺「何時より世よし」と囃すことになっていた。
新修門前町史・民俗編(p162)には、
「早乙女が棒〈ばい〉で(床板)を叩くのは、大地の発動を促すもので、中心は祭りの名である「ぞんべら」祈願、すなわち、水田に水がぞんぶり(充分ある)ある状態を祈願する行事である。」と記した。


目的ー原稿にするーがないと、動かない。
連綿と続く行事が好きで、
その季節、風土を味わうのが好きで、
私は小さな調査に出かける。
と思っていたのだが、とんでもない思い違いのようだ、
ということに最近気づきだしている。


話を引き受けて書かなくてはならないから、調べに行く。
行った以上、最大限その場の雰囲気に感動してくる、のであって…


「書かなくちゃーならない」から、が、まず前提にあるようなのだ。
それを、楽しみとして歩く…にしないと本物にはならない。


何とか自然体で 歩みたいものだ。


この「ぞんぶら」については数年分の充分な写真がある(門前町史編さん室提供も含め)