亀鳴屋ー石川デザイン賞受賞・勝井隆則さん

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2020年令和4年3月10日 梅の花と椿 ふき畑

 

句集 春暁 西山暁子
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平成26年(2014年)4月8日刊行 私家版

亀鳴屋制作

母・暁子米寿、父・外卿23回忌記念 

現在 「風港」同人

 

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宮崎孝正全詩集

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編者・勝井隆則氏があとがきに書いている。

ぜんぶコミで面白いのだし,

石があるから玉もかがやくと、

一切合切を放り込む方針に転びました。

 

その成果が、上のような写真15ページ・64枚。

年表中に40枚。本文中にも詩集表紙写真などが紹介されており、本文709ページ。

大変な労作である。

すぐそのような見方をしてしまうのだが、博士論文級の著書だと思う。

 

私は宗教民俗の五来重先生に学んだが、先生が最初におっしゃったのは、

 

歩いていると、調べなければならないことが寄ってきますよ。

 

であり、

柳田国男は「帰納」であり、折口信夫は「演繹」だったが

折口の演繹が成り立ったのは、折口という天才、余人には近づけない研ぎ澄まされた感性があったからで、

柳田国男の方法を目指しなさい、

だった。

 

この一切合切の亀鳴屋・宮崎本は、五来宗教民俗が目指した地平を示す、別の具現だと思う。

 

ところで、「天井の櫻」は写真解説に

「天井の櫻」が使われた「チェリー(たばこの銘柄)」の宣伝ポスター。

専売公社札幌地方局の制作で、昭和52年の花見シーズン、北海道全域に貼り出された。

とあるように、チェリーの宣伝に使われた詩の作者ということで、宮崎は一躍有名になる。

年表によれば、政孝は同年5月9日77歳で逝去。

政孝は、1900年(明治33)に宮崎家のある德田村江曽で生まれた。

私の父は、大正9年1920年)に同じ江曽の妙楽寺・松谷家に生まれ、昭和16年(1941)年飯田・西勝寺の西山家に養子に入った。

政孝と父とでは、年の差が20あるとはいえ、江曽は農村集落であり、西往来沿いにある

宮崎家の前を通らなければ、父・外卿は、德田小へも七尾中学校へも通えなかったので、孝政を知っていたはずだ。

普段は会うことがなかったとしても、孝政が德田小校歌を作詩し、校歌制定の昭和7年(1932)10月7日には、外卿は德田小学校6年生なので、校歌披露を最上級生としてむかえたことになる(下の「德田小学校史」参照)。

 

なお、『宮崎孝政全詩集』には宮崎作詩の校歌が4編載っている(P433~440)。

德田小學校、德田中學校、西湊小學校校歌、宇出津中学校校歌で、現在いずれの学校も統合されて学校名は変わっている。

 

さらに、孝政は昭和11年(1936)に長女・萬亀子と私の弟を通した七尾の親戚筋にしばらく住んでいた。

宇出津中は、私が4年間在籍した宇出津高校へ最も多くの生徒が進学しており、高校で出会った生徒達は、中学時代に孝政作詩

♪海の瞳は祈りをこめて 澄みきりわたり 松風を聴く…

を歌っていたのだろう。

不思議な縁としか言いようがない。

※その頃の関係者に聞いたら、すでに宇出津地区は能都中学校校下になっており、宇出津中は今は昔の話になっていた。

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1999年(平成11年)1月1日亀鳴屋発行 

編者勝井隆則 

私家版

 

宮崎孝政作詩校歌 德田小学校 (『德田小学校百年史』昭和47年・1972・11月18日発行』)

 

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「汝自當知」暁烏敏書  [出典]告法藏比丘 如所修行 莊嚴佛土 汝自當知(「無量寿経」)

 

歌われなかった校歌 

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 德田小学校 昭和8(1933年)年3月卒業生

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父・松谷外卿、教区会議員時代に能登教務所でよくお会いし、教えを受けた推進員の中心メンバーだった木下繁氏もここにおいでる。

木下さんとお話し、別れる時には自然と合掌なさる方だった。

父からは、江曽では、田仕事のあいま・休憩時間には、

畦に腰掛けて真宗大系(大系と言ったと記憶している)を読む人がいた、と、子供の頃によく聞かされたものだった。

写真には191名写っている。卒業生名簿は175名。16名は教職員だろう。

 

「鯉」

宮崎孝政には教科書に採用された詩(「鯉」『中学国語二』学校図書KK,昭和56年1月)がある。

高校で国語を教えていた経験からいうと、一編の詩なら普通3単元で扱う。

教える方はたいてい、3クラス3時間ずつ9時間。生徒は3時間たっぷりと学び、その詩に対して試験勉強もしなくてはならない。

教科書に採用されるということは、大変なことなのである。

先の写真説明に、

俳優加藤剛が朗読したカセットテープも、合わせて制作されている。

とあるが、これは補助教材である。教科書会社は、採択を目指しさまざまな補助教材を用意していた。

 

十月社・亀鳴屋本の装丁者が誰なのかを記しているのは、現代国語教科書に載っていた栃折久美子「モロッコ皮の本」に出会ったことによる。

その時、本は表紙・帯を含めた総合文化でもあることに初めて気づいたのである。

まして、デザイン賞受賞をきっかけに手元の亀鳴屋本を整理しているのである。

ともあれ、この膨大な本を完成させた勝井氏の「ねばり力」が、

以後の亀鳴屋本のゆとりをもった制作に生かされ続けているのだと、うなずいている。

 

 

藤澤清(氵+靑)造貧困小説集

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2001年(平成13年)4月20日発行

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今年2月5日に54歳で急逝した芥川賞作家・西村賢太さんが協力者だった。

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倉田啓明譎作集 稚児殺し

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口絵 牛島 孝 無題

口繪 撮影 小幡英典 表紙加賀染 奥田染色

協力 高田巌 上陽子 坪坂実千代

 

人譽幻談 幻の猫 

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2004年4月30日 発行

著者 伊藤人譽

表紙写真 武田 花

著者写真 小幡英典

本文レイアウト 高田巌

奥付貼紙 一二明子

 

室生犀星断章 馬込の家 伊藤人誉 

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2005年(平成17年)5月30日 

撮影 小幡英典 篆刻 井口哲郎 

検印紙図案 藤澤由佳

 

詩集 寡黙な家 ヒグレテタドルハ 大野直子

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平成18年(2006年)10月30日発行

私家版 表紙 扇田克也 撮影 桝野正博

装丁 金田理恵

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大野さんはこの時までに第17回日本海文学大賞「詩部門北陸賞」を受賞されていたが、この後、詩集「化け野」によって、第22回日本詩人クラブ新人賞を受賞された。

 

伊藤茂次詩集 ないしょ

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発行 平成21年(2009年)3月12日

著者 伊藤茂次 編者 外村 彰

題字 著者葉書より 表紙画、扉画 滝田ゆう 奥付版画 高橋照雄

 

高祖保書簡集 井上多喜三郎宛

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平成20年(2008年)5月4日発行

編者 外村彰

写真撮影 小幡英典 表紙画、題字 高祖 保

 

湯浅啓写真集 能登線憧憬

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2008年(平成20年)10月14日発行

 

上司小剣コラム集

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2008年(平成20年)10月30日発行

編者 荒井真理亜

表紙版画 高橋輝雄

題簽(白山紬) 奥田染色

 

ひたむきな人々ー近代小説の情熱家たちー

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平成21年(2009年)4月6日発行

編者 木田隆文・田村修一・外村彰・橋本正志

カバー画・扉挿画 グレゴリ青山

扉版画 高橋輝雄

収録作品の作家 八木重吉 国木田独歩 夏目漱石 志賀直哉 菊池寛

 佐藤春夫 芥川龍之介 近松秋江 阿部知二 宮沢賢治 中山義秀 

 岡本かの子 室生犀星 中島敦 平塚武二 武田泰淳 城昌幸 井伏鱒二

 宮尾登美子 井上靖

 

念ふ鳥 詩人 高祖保 外村彰

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著者 外村彰

函・表紙版画 高橋輝雄 写真撮影 木幡英典

近江上布装A版[白]、同B版[生成り色]。

私が所有しているのはB版

 

歌のわかれ  中野重治

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平成23年(2011年)3月31日

発行 石川近代文学

版画・題字 中野重治
 

ぼくの創元社覚え書 高橋輝次

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2013年(平成25年)10月10日

表紙イラスト グレゴリ青山

扉画 創元社文庫表紙より

 

妹の力、島の人生

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昭和21年(1946年)4月20日 6版発行 

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昭和37年(1962年)9月30日 再版

創元社文庫は書庫に2冊あった。いずれも柳田國男

 

犀星映画日記 室生洲々子編

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2020年(令和2年)10月18日発行

イラスト 武藤良子

 

さらに充実…

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土井正三詩集 梅

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令和3年(2021)11月28日発行
版画(表紙・扉・奥付貼紙) 武藤良子

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