昔、東京に行かれた安宅さんから、夜遅く電話があって、
西山さん!東京では、この時間はまだ宵の口ですよ―。
とおっしゃった。
どこも出かけないで、夜中に起きている日が続き、ふと
安宅さんはどうしておいでるだろうと思った。
ウィキペディアを見ると、
安宅 夏夫(あたか なつお、1934年8月29日 - 2020年3月23日)は、日本の文筆家。
石川県金沢市出身、慶應義塾大学文学部卒。金沢市で18年間、高校の国語教員として勤務の傍ら短歌や詩の創作を行う。その後上京して文筆家となる。日本現代詩人会、大衆文学研究会会員。
2003年、『「日本百名山」の背景 深田久弥・二つの愛』で尾崎秀樹記念・大衆文学研究賞評論・伝記部門を受賞、2012年、第一回群系賞を、野口存彌氏とともに受賞。本名、安宅敏雄。(以下著書など省略)
とある。
去年、この世を去っておいでたのだ。
石川県高等学校図書館 郷土資料総合目録
昭和55年11月10日発行。
私が33歳の時の刊行。この時は2年生の担任、野球部・新聞部の顧問をしていた。
このメンバーでは最も若く、四柳氏が同学年、野島さんと安宅さんが比較的若いメンバーだったような気がするが、安宅さんは46歳頃だったのだ。
その時のメモでは、400字詰め原稿用紙80枚分を書いている。
刊行を記念して、確か主計町の、五木寛之氏あたりがよく書いていて著名だった「太郎」で宴席を持ったはずだ。とんでもない場違いな席にいるようで、どう振る舞っていいのか分からないままの時を過ごしたような思い出がある。
ふるさと文学探訪 鏡花・秋声・犀星
この方々とは、一堂に会することはなく存じ上げないままの人も多い。
愛の狩人 室生犀星
この本は購入のはず。
犀星句は、共同執筆で新たな本を出そうと誘って下さった時のメモ書き。この頃は東京においでて、私の方に遠くにおいでる方と編集に近い仕事をする余裕がなく立ち消えになった。
ご恵贈いただいた諸本
尾崎秀樹賞受賞作。以下のご恵贈本の署名は、それぞれに個性的。
この書では、安宅夏翁を用いておいでる。
いただいていたことに気づかず、お亡くなりになった事を知った日、古書店に注文した。すごく面白かったので、届いた本は、深田久弥文学と関係ある人に送った。
安宅さんの書物によって、深田久弥が中島敦を世に出したことを知った。
「山月記」(中島敦)は高校2年生の国語教科書の大半に採用されていた。
著書は、あたかも国語教師だった安宅さんの名授業を聞いているかのようなわかりやすさ。グイグイ引き込まれていく。
第16回尾崎秀樹記念・大衆文学研究賞授賞式 2003年12月20日東京會舘
左から2番目安宅夏夫氏。向かってその右早乙女貢氏。向かって左尾崎秀樹氏令嬢。
平成5年7月31日発行
安宅夏夫 金沢市に生まれる。慶應義塾大学文学部卒業。金沢市にて18年間高校国語科教員として勤務。(以下略)
2008年2月1日初版発行
2008年1月1日初版発行