お盆、還帰なされたお二方

15日の夕方。38度越えというピークがやってきた。

15日は朝5時に、山の墓地のお墓参りが始まるため、朝3時に起床し準備を進めた。

襦袢・白衣、黒衣を身につけ猛暑の中のお墓参り、日焼け、目が乾き目薬を欠かせない。

16日は野々江地区の城山墓地のお墓参りに決まっているのだが、今年は台風・暴風雨のため、17日に延期。

その17日朝、親しくさせていただいていた金沢の御門徒さんが息を引き取られ、

18日金沢でお通夜、19日葬儀。

18日には、これもお世話になっていた外浦地区の御門徒さんが還帰なされ、20日の「同朋会推進員定例勉強会」の後、お通夜・21日に葬儀を務めさせていただいた。

 

私はブログやFBに寺役関係は書かないことにしているのだが、

金沢の塩梅さん(94才)、馬緤の南方さん(97才)は、歴史・文化とも深く関わってこられたので、その観点からの一部を記録させていただく。

 

塩梅俊夫さん(94)

戦後、地域郷土史研究会としては最も早い時期に珠洲郷土史研究会が珠洲の地に生まれ、昭和25年1月7日「すずろ物語」が創刊された。

創刊号には3名の方が執筆されており、その一人として塩梅俊夫さんが「正院町旧図を見ての一考察」を書いておられる。塩梅さん27才の頃であり、郷土史研究の先駆者であられた。

引き続き次号から3号にかけて「江戸時代の武家屋敷に対する一考察(正院御代城山の役屋敷跡について)」、「正院町の井戸水を調査して」を発表なさった。

いずれも調査の範をお示しなさったようで、さまざまな角度から緻密な調べをなさっており、そこから大きく広がっていくのではないかと思わされる論の数々で、

それだけに、郷土史黎明のその頃には、理解者を得るのが難しかったのではないかと思わされるほどの調べぶりである。

 

喪主のご子息が、(金沢)大手町法律事務所に所属なさっている弁護士で、その方面の関係者も多くお参りなさっていたようなので、お通夜では

俊夫さんの論の紹介と、

十七条憲法

 

十に曰わく

忿を絶ち、瞋を棄てて、人の違うことを怒らざれ、

人皆心有り、心おのおの執れること有り。

彼是すれば我は非す。我是すれば彼は非す。

我必ず聖に非ず。彼必ず愚かに非ず。

共に是れ凡夫ならくのみ。

是く非しき理、詎か能く定むべけん。

相共に賢く愚かなること、鐶の端無きが如し。・・・

 

 について、ともに考えさせていただいた。

 

親鸞聖人の「義無きを義とす信知せり」(正像末和讃54)

の元であり、

604年にもう「凡夫(ただびと)」を聖徳太子が用いておいでるのにおどろき、確かめたのである。

 

20日(火)は、午後からの「同朋会推進員定例研修会」準備で、早起きし、

「印度西天之論家、中夏日域之高僧~龍樹大士出於世」、

「大悲ものうきことなくて つねにわが身をてらすなり」などについて触れた。

そこにいたるまでに、どうしても『阿弥陀経』の「祇樹給孤獨園」や阿難尊者、弥勒菩薩韋提希夫人、長老舎利弗の聞の方々の「聞」に触れなくてはならず、

頭の切り換え、

環境(お盆―金沢―珠洲)の変化と暑さへばりで頭痛状態のまま、

故人―南方宝作さん(97)ーが出版なさった折にお手伝いしたことのある本に触れながらの通夜説教・・・。

その御本は、地域史や軍隊での飛行機搭乗員としての記憶の細かさ・確かさに驚嘆しつつ原稿を読ませていただいたものであり、その後も、いろいろなお話しをいただき続けてきた方のお通夜だった。

 

南方宝作氏(97歳)

80歳の時、出版なさった著書の後書きに次のように特攻の話に触れておいでる。

 特攻に行く日が決まっていて8月15日を迎えた方とは

上山春平氏から一晩、

桜井甚一氏からは何度もお話しを聞いたが、

南方さんの話・記憶は、目の前にある記録を読んでおられるような鮮明さだった。これは、その後書きの部分である。

あとがき(部分)

 

「身を棄ててこそ浮かぶ瀬もある。」

私はかの戦争中、勝敗を抜きにして、戦争終結までに
は己れの命はあるまいと思っていた。

ならば、悔いのない戦場で果てたいと常に念じていた.
悲願の飛行機搭乗員となり、制海権、制空権が敵手中にあるなか、太平洋戦域へ無防備の輸送機で日夜任務、要務の飛行に携わっていた。

北海道に移ってからはB29基地へ夜間に強行着陸して、そのB29を爆破するという任務を帯びて訓練していたが、特攻出撃三日前に終戦となり、私は生きて自分の命日を迎えること五十六回(80才)。
[南方宝作氏著、おかげさまで、後書き部分]

 

 さらに17回の齢を重ねられて、還帰なさった。

このような、特攻計画もあったのだ・・・。

 

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昭和25年1月7日刊「すずろ物語」創刊号―「正院町旧図を見ての一考察」塩梅俊夫氏


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南方宝作氏著「おかげさまで」平成14年刊270頁