抜刷り「越中(富山県)の御影巡回―下新川地方を中心として―」加藤享子さん
富山県の加藤享子さんから抜き刷りが届いた。礼状にも書いたが、「私の名の引用を見て、そうことをしていた時代もあったのだなぁと感無量でした。北西先生の満中陰に行った時、一帯で蓮如忌が営まれており、城端の御影巡回の名残だと思いました。」
加藤さんの御影巡回は下新川郡で歓喜光院・乗如上人の御影巡回である。
『蓮如と真宗行事』には、新井別院の墨衣御影巡回を泊まりがけでバスに乗って御座宿を訪ね調査し、五線の巡回の様子も書いた。大雪の荒井で別院が雪で見えないような時に調査に出かけたあのエネルギーと情熱はどこから湧いていたのだろう。歩けば何かに必ずぶつかる、宗教民俗草創期だった。
能登の御影巡回を『加能民俗研究』に発表したのは1987年のことだったが、その2年前に松崎憲三さんが『巡りのフォークロア』を出版なされ、日本民俗学会からその書評依頼が私のところへ来て、6000字ほどの書評を書いている。
今、『巡りのフォークロアー』の目次を見ると、彼は多くの問題提起をしており、この加藤さんのものまで、地図にどこどこ調査され記録に残されていることを知るのは、極めて重要なことに思えてきた。
個人の巡拝も含め、真宗の巡りのデータ化と分析は、これからという気がする。
松崎さんの巡りについては項をあらためる。