ふと、生神(うるかみ)のお産の井戸に寄ろうと思った。生神は能登に多い義経伝説の代表の一つ、草分けとでもいうべき伝説地である。
奥州へ落ちのびるため、能登へ向かった義経を、身重のため遅れてあとをたどってきた北の方が、ここでお子を生み、その時用いたという良水の井戸がある。生神の地名も、この話しから付けられた。
私が民俗を始めたころには、無事出産するとお礼に奉納した「乳型」が一、二ではあったが、見た記憶がある。
近くのヤセの断崖などが崩落した2007年の能登沖地震で、車道から生神神社へ行く道は大きく崩れており、車は...通れない。
地震前には自動車道を通って何度か来ているのだけれど、初めて集落から井戸を目指した。