被災地の民俗資料ー輪島市



道下に仮設住宅が30戸建ち、佃和雄先生(輪島市文化財保護審議委員会会長職務者代行、門前町郷土史研究会会長)もそこに入られたという。

先生には、若いときから随分お世話になっておりながら、道下(とうげ)地区の災害状況のひどさや、道下がボランティア受け入れ拠点になっている関係上、邪魔になってはいけないと思い、気にしながらも、今までお訪ねしないでいた。


その佃先生から、加能民俗会長の橘礼吉さんに、毀さなくてはならない土蔵の品物、保管場所などをどうしたらいいか善後策を考えようとの電話が入った。
仮設住宅に入り、ようやく一段落…
他の人も、そろそろ土蔵をどうしようか、相談においでるようになったらしい…。


古文書とか美術品に関しての公の窓口は連休から動き出している。だが、生活の道具は加能民俗の関係者が関わった方がよいと判断なさったようで、橘さんから、私にもこないかとの電話が入り、昨日9日、道下へ向かった。

 
仮設住宅地の一隅で、ひとしきり話し合ったあと、
旧船主家の解体した土蔵から運び出された、嫁入りの時に用いた駕籠や土蔵の戸、その他の品々を見に行った。
間もなく更地になろうとする土蔵跡に、来歴の分かる箱物があったので残しておいてくださいと、当主にお渡しした。

箱だけじゃ…と周りを見回すと幾つも猪口があったので、家にあった記念に取っておかれたら…といくつか拾って中に入れた。
いいものかどうでもいいものなのか、修行が足りずに分からないのが残念だが、割れてもいないものをわざわざ捨てることもあるまい…というのが、唯一、残す根拠。
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もう一度見渡すと、襖の下張りに黒印を押した文書があった。
これも捨てないで…佃先生に後で見て貰ってください…と保存して貰うことに。
あちこち歩けば、キリがないくらいこのような状況に出会うのだろう、と思った。


その後、ある街並みを歩いた。
この建物は持ち主が何とか残そうとしておいでる、
この建物は昔の○○家の流れ…、
この建物は…
などのお話しを聞きながら歩く。


下の方がかなりの被害を受けているこの建物は、持ち主がなんとか残そうとなさっているのだという。
綺麗で凝った作りの二階の様子。
有り難いことだ。
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三人で食事をし、私は、前に通ることのできなかった高爪、大福寺道を通り、富来の知り合いのお寺や家を通りすがりに眺め、知り合いのお寺へ寄った。
そこも鐘樓堂を直しておられる最中だったが、その周囲の季節の木々を写真におさめた。f:id:umiyamabusi:20070509160615j:image